第4回日本eスポーツ学生選手権・パズルゲーム部門 フォトレポート&選手インタビュー
2016.09.07

まだ見ぬ強豪との戦いを求め、全国各地からパズルゲーマーが集結!

この記事では、大会の模様と各部門優勝者へのインタビューをお届けする。
スワップ部門
スワップ部門は一定時間ごとに『ぷよぷよ』と『テトリス』の盤面が入れ替わる特殊ルールで、『ぷよぷよ』と『テトリス』それぞれに高い技術が求められる。
この部門は16人が参加し、ダブルエリミネーショントーナメント形式で開催。1回戦の勝者8人によるWinnnersブロック、敗者8人によるLosersブロックが並行して進行していき、最後にWinnnersブロックの勝者とLosersブロックの勝者による決勝戦を行った。
試合前には1P・2Pどちら側でプレイするかをじゃんけんで決める場面も。大会らしい緊張感はありながらも、楽しく和やかな雰囲気で進行した。

決勝戦では、Winnersトーナメント勝者のMATTYAN氏とLosersトーナメント勝者のペペペマン氏が激突。
『ぷよぷよ』と『テトリス』、どちらをとっても両者一歩も譲らぬ接戦の末、MATTYAN氏が優勝を勝ち取った。
スワップ部門ファイナリストインタビュー
――この大会を知った経緯を教えて下さい。
MATTYAN Twitterでフォローしている人がつぶやいていて、それで知りました。
ペペペマン 私もTwitterで知りました。
――ペペペマンさんは山形大学とのことですが、この大会のために上京されたのでしょうか。
ペペペマン 実家が茨城県で、現在帰省中です。タイミングをあわせました。
――普段はどちらのタイトルをメインにプレイされていますか。
MATTYAN 私はどちらも均等にプレイしています。本気でやり始めたのは『ぷよぷよテトリス』が発売されたころです。
ペペペマン どちらかというと『ぷよぷよ』メインですね。『ぷよぷよ』は小さい頃からプレイしていますが、『テトリス』は『ぷよテト』からです。
――この大会以外で、eスポーツ系の大会に参加したことはありますか。
ペペペマン レッドブルの大会に出たことがあります。
MATTYAN 私もそうです。レベルが高くて、2回戦で負けてしまいました。
――学生選手権は学生同士の交流会という側面も強い大会ですが、お二人はどのようなスタンスで参加されていますか。
MATTYAN 私の意識としては、ほかの大会と変わりありません。優勝を目指して参加しています。
ペペペマン 私もそうです。ただ大学にも『ぷよぷよ』のサークルはあるのですが、7,8人程度の規模の小さなサークルで、オンラインでの活動がメインですので、このような対戦会は貴重ですね。
――今後の抱負を教えて下さい。
MATTYAN 全国一を目指します。
ペペペマン ガチでやるのもいいんですが、楽しんでここまで来たので、それを忘れずにやっていきたいです。
ぷよぷよ部門
午後からはぷよぷよ部門とテトリス部門がそれぞれ並行して開催された。
23人もの参加者が集まったぷよぷよ部門では、6グループに分かれての予選リーグを開催。各グループの上位2名が決勝トーナメントに進出し、優勝を争った。

決勝に勝ち残ったMGR氏とSera氏は、どちらも関西圏から参加する遠征組。ふたりとも、昨年夏に開催されたRed bull主催の強化合宿イベント“Red Bull Gaming U”にも参加した猛者だ。
さまざまな共通点のある二人は実力も伯仲。互いに様子を伺いつつ、どちらかが仕掛けたら即座に連鎖を発動して押し返しあう。一進一退の攻防が続くも、最後にはSera氏が勝負を制した。
ぷよぷよ部門ファイナリストインタビュー
――この大会の出場経験と、大会を知った経緯を教えて下さい。
Sera 今回が初参加です。以前「Red Bull Gaming U」というゲーム合宿イベントに参加したんですが、そこにこの大会の参加経験者がいたので、存在は知っていました。
MGR ぼくもそうです。Twitterでもみんなツイートしていたので、そこでも知っています。
――おふたりとも関西から来られたとのことですが、この大会のために上京されたのでしょうか。
Sera 今回はこの大会がメインの目的ですが、アーケードの対戦会も目的のひとつです。関東は強いプレイヤーが多いので、直接挑むために。
MGR 長期休みになったら最低1回は遠征に行くことにしています。
Sera 武者修行的な感じですね。観光とかしたことない(笑)。
――「ぷよぷよ」はいつごろからプレイしていますか。
Sera 5歳くらいのころでしょうか。ただ触れたのが早かっただけで、「ぷよぷよ通」ルールを始めたのは中学2年のころです。最初は遊びの延長線上にあったんですが、レーティングっていう強さの指標を出されると、つい上を目指したくなっちゃいますよね。同じくらいのやつに負けると悔しいし。
MGR 僕も始めたのは中2くらいで、そのころからガチ勢になろうと思っていました。「これはいいゲームだ、上を目指したい」と。
――おふたりとも大学4年生とのことですが、進路としてeスポーツに関わりたいという考えはありますか。
Sera 今のところは切り分けて考えています。
MGR 自分は教師の道を考えています。下の世代と触れ合いながら、『ぷよぷよ』も教えていきたいですね。
――最後に、今後eスポーツとして『ぷよぷよ』に関わるうえでの抱負があればお願いします。
MGR 今回は遠征も含め、いいところで勝負を取り切れていない部分があったので、メンタル面をより強くして次に挑んでいきたいです。
Sera 僕はただ「強くなる」だけです。で、今まで負けた相手を一人残らず負かしに行きます(笑)。
テトリス部門
ぷよぷよ部門と並行して開催されたテトリス部門は14人が参加した。こちらは4グループに分かれて予選リーグを行い、各グループの上位2名が決勝トーナメントに進出。
決勝ではスワップ部門優勝者のMATTYAN氏と、決勝まで全勝で勝ち進んできたalpha氏が激突。息もつかせぬ高速バトルが展開された。
3ポイント先取の3セットで行われた決勝の1セット目は、互いの意地をぶつけあうような激戦をMATTYAN氏が制し、この日初めてalpha氏に土をつける。
だがこれでalpha氏が奮起。怒涛の連勝を重ね、残る2セットを連取して優勝を勝ち取った。
テトリス部門ファイナリストインタビュー
――おふたりは学生選手権以外で、『テトリス』の大会に参加した経験はありますか。
MATTYAN ないですね。『テトリス』に関しては学生選手権のみです。
alpha 私も公式大会の経験はありません。有志で行われている大会には参加したことがあります。
――MATTYANさんは今回スワップ部門優勝、『テトリス』部門準優勝となりますが、今後どの部門を活動の中心にしたいと考えていますか。
MATTYAN どれかを中心に、という考えは特にないです。三冠目指して、獲れるものは獲っていきたいです。
――alphaさんにお聞きします。学生選手権への参加は何回目でしょうか。
alpha いま大学1年で、今回が初めてです。
――学生選手権を知ったきっかけを教えて下さい。
alpha ニコニコ動画に上がっていた学生選手権の動画を見たのがきっかけです。
――大学ではeスポーツ関係のサークルには参加されていますか。
alpha いえ、特にそういったサークルには参加していません。今回は個人での参加です。
――『テトリス』はいつごろからプレイされていますか。
alpha 昔触れたことはありますが、本格的にオンライン対戦をするようになったのは2年前です。PS4でプレイしています。
――今回は『テトリス』部門での受賞となりましたが、ほかの部門への参加は考えていますか。
alpha ぷよぷよがまだあまりうまくないので、今のところは『テトリス』だけですね。
――今後も学生選手権に参加したいと思いますか。
alpha はい。余裕があれば、ぜひ。
――今後、この大会以外でeスポーツ競技として『テトリス』の大会が開催された場合、参加したいと思いますか。
MATTYAN 私は参加したいです。
alpha 自分も、できれば参加していきたいですね。
eスポーツにも女性進出の波? 女性プレイヤーインタビュー
参加者として女性プレイヤーの姿が目立ったのがパズルゲーム部門の特徴のひとつだ。Wikiaでは、そのうちの2組にインタビューを実施した。
その1 eスポーツ、参加して楽しむ? 見て楽しむ?
インタビュー対象、1組目は大学1年生の女性2人組。1人は選手として参加し、もう1人は見学のみの参加という。
eスポーツへの参加をどのように考えているのか、それぞれの視点から匿名を条件にお話を伺った。
――おふたりの簡単な自己紹介をお願いします。
女性参加者A(以下、A) 私は大学1年生です。今日はぷよぷよ部門で参加しました。
女性参加者B(以下、B) 私も1年生ですが、別の大学です。たまたまゲームセンターで『ぷよぷよ』をやっていて知り合いました。試合には参加せず、見学のみの参加です。
――この大会を知ったきっかけを教えて下さい。
A 立川のゲームセンターで対戦会に参加した時に、この大会の運営の方がそこの常連でお話を聞きました。
――今回はAさんのみ大会にエントリーしたとのことですが、Bさんはエントリーの意思はありましたか。
B こういう大会がどういうものかよく知らなかったので、とりあえず見学しようと思い、エントリーはしませんでした。今日は完全に見る側です。
――実際に見学した感想はいかがでしたか。
B みんなすごく強いなっていうのもあるんですが、けっこう楽しそうにプレイしてるんだなと思いました。あまり殺伐した雰囲気もなく、隣の人と会釈を交わしたりしながらプレイしていたのが印象的です。
――ゲームセンターの対戦会との雰囲気の違いはいかがですか。
A ゲームセンターの対戦会では基本的にいつも同じ人が集まるので、プレイスタイルがわかるんです。こういう場だと知らない人ばかりなので、どのようなぷよを打ってくるのかわからなくて楽しいです。
――対戦会にはふだんから参加されているとのことですが、大会への参加歴はありますか。
A 6月にアーケード版の大会に参加して、50人くらいいたんですが、準優勝できました。
B 私は大会があったことを知らなかったので……。その大会も見れていません。
――学生選手権には今回が初参加とのことですが、今後も参加してみたいと思いますか。
A はい。
B うーん……私は、まだちょっとわからないです。
その2 進路選択の決定打はeスポーツ?
続いてインタビューを行ったのは、女性プレイヤーのひとり、いーちゃん選手。
残念ながら入賞は逃したものの、テトリス部門でベスト4に残るなど、各部門で活躍を見せた。
高校生のため、今回は保護者同伴での参加。学生大会の中でもひときわ若い彼女がeスポーツをどう捉えているのか、父親のコメントも交えてお届けする。
――現在の学年を教えて下さい。
いーちゃん 高校1年生です。大会の参加条件が、高校生以上の学生なんです。
――この大会はどこで知りましたか?
いーちゃん ホームページで知りました。ほかのイベントに行ったときに耳にすることもありました。
――この大会以外に、eスポーツイベントや大会などに参加されたことはありますか。
いーちゃん 今年の6月にCSの『いいすぽ!』というテレビ番組で大会があり、それに参加しました。TOKYO MXの『eスポーツMaX』にも出たことがあります。
――『ぷよぷよ』や『テトリス』はいつごろからプレイされていますか。
いーちゃん 中学1年からなので、4年ほどですね。最初はお父さんとやっていたんですが、全然勝てないのが悔しくて練習を積みました。最初はぷよぷよがメインで、『ぷよぷよテトリス』が出てからテトリスをはじめました。
――もともとはお父さんがぷよぷよをプレイされていたんですね。
父 メガドライブの初代ぷよぷよにハマって、そのころからプレイしています。当時はこんな綺麗な連鎖とか組めませんでした(笑)。娘とはレベル差がついてしまいましたが、ここまで強くなってくれれば何も言うことはないです。まあ、(eスポーツ選手としては)もっと強くならないといけないんですが。
――連鎖の組みかたなど、テクニックはどのように身につけましたか。
いーちゃん 他の人の動画を見たり、インターネット上の情報を見て研究しました。
――高校にはゲームサークルはありますか。
いーちゃん ないですね。あったら入りたいです。
――自分の進路を選ぶときに、eスポーツサークルの有無も参考にしていますか。
いーちゃん はい、そういったサークルのあるところを中心に見て回っています。
――ちょうどスポーツをされている方が、部活の強い学校を選ぶのと同じような感覚ですね。
父 時代は変わったなと感じますね。うちの職場の先輩に話しても理解されないと思います(笑)。
――今後も学生選手権に参加したいと思いますか。
いーちゃん はい、今後も続けて参加したいと思っています。
編集後記
学生による大会であるものの、参加者はハイレベルなプレイヤーばかり。とくに各部門の決勝戦では、格闘技のような息つく暇のない試合展開に、会場のあちこちから喝采が起こるほどの盛り上がりを見せた。『テトリス』や『ぷよぷよ』がeスポーツとして、幅広く受け入れられるエンターテイメント性を持っていることを再認識させられる。
一方で試合が進むと空いた台でフリー対戦を楽しむ姿も見られ、交流会としても正しく機能していることが伺い知れた。

学生同士の交流の場としての役割を根底に持つ本大会だが、同時に気軽に触れられるeスポーツ大会としてのポテンシャルも十分に感じられる。
今後は学生同士の交流を根底に置きつつ、規模の拡大によって学生以外からの注目を増やし、eスポーツの裾野を広げる役割を担っていくことを期待したい。
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